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食後の残留物のチェック

口の中とのどに残るものの種類、残る場所、確認のしかた、そして残ったままにしたときのリスク。食後の数分を、事故を防ぐ時間に変えるための詳解。

このページの位置づけ

「全部食べられた」は、食事介助の終わりではありません。 飲み込んだはずの食べ物の一部が、口の中やのどの奥に残っていることがあります。 これを残留(residue)と呼びます。

口の中の残留は、見れば分かります。しかしのど(咽頭)の残留は外から見えず、本人も気づいていないことが多い。 日本摂食嚥下リハビリテーション学会の「訓練法のまとめ(2014版)」も、 咽頭残留について「自覚的には残留感がない場合が多い」と注意を促しています。

このページでは、残留物がどこに・なぜ・何が残るのかを整理したうえで、 介護の現場でできる確認のしかたと、専門職による検査との役割分担、 そして残留を放置したときに何が起こりうるのかを扱います。 呼吸音から嚥下を評価する頸部聴診法については 呼吸音の聴診、 呼吸の観察全般については 観察項目としての「呼吸」もあわせてご覧ください。

はじめに ─ 介護職員と残留物の確認について

口の中を見て食べ残しを確かめ、口腔ケアで取り除くことは、介護職員の日常の業務です。 一方で、のどに残留があるかどうか、誤嚥しているかどうかを判断することは、介護職員の役割ではありません。 咽頭の残留を直接確かめられるのは、医師・歯科医師などが行う嚥下内視鏡検査(VE)や嚥下造影検査(VF)です。

介護職員に期待されるのは、「食後に声がガラガラしている」「食べたあと咳が続く」といったサインに気づき、事実として記録し、看護職員や言語聴覚士につなぐことです。 このページで紹介する介助の工夫(交互嚥下・複数回嚥下など)も、 対象者ごとに専門職の評価と指示を受けてから行ってください。

CHAPTER 01

1. 残留物は、どこに残るのか

食べ物は、口(口腔)→ のど(咽頭)→ 食道 の順に送られます。 このどこかで送り込む力が足りないと、食べ物の一部がその場所に取り残されます。 残る場所によって、見つけ方も、危険の大きさも違います。

見える場所

口腔内残留 oral residue

  • ▸ 頬と歯ぐきの間(口腔前庭)。頬の筋力が落ちている側や、麻痺のある側にたまりやすい場所です。
  • ▸ 舌の上・舌の下。舌の動きが弱いと、食べ物をまとめて奥へ送れずに残ります。
  • ▸ 上あご(口蓋)。べたつく食べ物が貼りつきます。
  • ▸ 入れ歯(義歯)の内側・下。義歯を外さないと見えません。

見えない場所

咽頭残留 pharyngeal residue

  • ▸ 喉頭蓋谷(こうとうがいこく):舌の付け根と、気管のふたである喉頭蓋の間にあるくぼみ。
  • ▸ 梨状窩(りじょうか):喉頭の左右両側にあるくぼみで、食道の入口へ続く通り道。梨状陥凹とも呼ばれます。
  • ▸ 咽頭の壁:のどの奥の壁に、薄く貼りつくように残ることもあります。

どちらのくぼみも、気管の入口(喉頭)のすぐ隣にあります。 ここに残ったものが、次に息を吸ったときに気管へ入る ── これが咽頭残留の危険の核心です(3章)。

なぜ残るのか ─ 場所と原因の対応

学会の「訓練法のまとめ(2014版)」では、訓練法ごとに対象となる状態が記載されています。 そこから、残る場所とその背景にある機能の低下を整理すると、おおむね次のようになります。

残る場所背景にある機能の低下現場で見えやすいこと
口腔内 舌・頬・唇の動きの低下、かむ力の低下、口の中の感覚の低下 食べこぼし、いつまでも口の中に溜めている、片側にだけ残る
喉頭蓋谷 舌根(舌の付け根)の後退と咽頭の収縮が不十分 飲み込んだあとも何度もゴクンとしている、食後の声の変化
梨状窩 舌骨・喉頭の持ち上がり(挙上)の不足、食道入口部の開きの不足、咽頭の動きの左右差 食後のむせ・咳、湿った声、片側だけに残ることがある

※ 表の「背景にある機能の低下」は、同資料の努力嚥下・顎引き嚥下・メンデルソン手技・頸部回旋の「主な対象者」の記載に基づきます。 「現場で見えやすいこと」は観察の手がかりとして例示したもので、これによって残留の場所が特定できるわけではありません。

CHAPTER 02

2. 残留物の種類 ─ 何が残りやすいのか

残りやすさは、食べ物の名前ではなく性状(物性)で決まります。 日本摂食嚥下リハビリテーション学会の「嚥下調整食分類2021」も、 「刻み」「ミキサー」という呼び名は調理の手技にすぎず、 できあがったものの物性で判断すべきとしています。 そこで、ここでは性状ごとに整理します。

性状なぜ残りやすいか食べ物の例残りやすい場所
べたつく
付着性が高い
口の中やのどの粘膜に貼りつき、飲み込んでも一部がはがれずに残る 餅、粘りの強い粥、マッシュポテト、ペースト状でも付着性の高いもの 口蓋、舌の上、咽頭の壁、喉頭蓋谷
ぱさつく
水分が少ない
唾液と混ざってまとまりにくく、粉のように散って残る パン、カステラ、ゆで卵の黄身、焼き魚、ふかし芋 口の中全体、喉頭蓋谷
ばらける
凝集性が低い
ひとかたまりにならず、細かい粒がのどのあちこちに散らばる 刻み食(とろみなし)、そぼろ、ひき肉、炒り卵、ピーナッツ類 梨状窩、喉頭蓋谷
薄く貼りつく 面で粘膜に貼りつき、舌で送りにくい のり、わかめ、葉物野菜、薄切りのきゅうり 口蓋、咽頭の壁
液体と固形が混ざる 液体だけが先にのどへ流れ込み、固形部分が口の中に残る。動きの違う2つを同時に処理しなければならない 具のある汁物、果物(かむと果汁が出る)、高野豆腐 口腔内(固形)、液体は誤嚥しやすい
口の中で水が出る
離水
かむと水分が分かれてサラサラの液体が先に流れる。学会分類2021でも、口の中で多量に離水するものは難易度が高いとされる 水分の分かれやすいゼリー、すいか、粥の上澄み 液体は誤嚥しやすい

食べ物以外の残留物

  • ・薬:錠剤・カプセル・粉薬が舌の下や頬の内側に残ることがあります。服薬後の口の中の確認は、残留確認と同じ手順で行えます。
  • ・唾液・痰:飲み込む力が落ちると、食事に関係なく唾液がのどにたまります。食前からのどがゴロゴロしているときは、この状態です。
  • ・歯垢・食べかす:見た目には少量でも、細菌のすみかになります(3章)。

「食べやすい」と「残りにくい」は別

細かく刻んだ食事は、かむ負担は減りますが、とろみやあんでまとめていなければ、のどではかえってばらけます。 学会分類2021のコード4(嚥下調整食4)が求めるのも、「かたすぎず、ばらけにくく、貼りつきにくい」ことです。 食形態の変更は、管理栄養士・言語聴覚士・看護職員と相談して決めます。

※ 表の「食べ物の例」は、性状を説明するための一般的な例です。同じ食品でも調理法や個人の嚥下機能によって残りやすさは変わります。

CHAPTER 03

3. 残ったままにすると、何が起こるのか

残留物そのものは、すぐに症状を起こすわけではありません。 危険なのは、食事が終わったあと、誰も見ていない時間に事態が進むことです。

誤嚥性肺炎の死亡数(2024年)

63,667人

うち65歳以上が 98.8%

不慮の窒息の死亡数(2024年)

8,186人

うち65歳以上が 89.9%

食物による窒息の死亡数

3,500人以上

65歳以上・年間(消費者庁)

※ 左・中央:厚生労働省「人口動態統計(確定数)」2024年、死因簡単分類による死亡数(政府統計の総合窓口 e-Stat の統計表から集計)。 65歳以上は5歳階級を合算しました。「不慮の窒息」には食物以外による窒息も含まれます。 右:消費者庁が人口動態調査の調査票情報(2018〜2019年)を分析した結果。

RISK 1

嚥下後誤嚥 ─ 食後に、静かに気管へ入る

飲み込みの最中、気管の入口は喉頭蓋によってふさがれています。 ところが飲み込みが終わって呼吸が再開すると、喉頭蓋谷や梨状窩に残っていたものが、吸う息とともに気管へ流れ込むことがあります。 これを嚥下後誤嚥といいます。 学会の「訓練法のまとめ(2014版)」でも、複数回嚥下の目的は「咽頭残留を除去し、嚥下後誤嚥を防止する」ことだと説明されています。

厄介なのは、むせないことがある点です。 気道を守る反射(咳反射)が弱っていると、気管に入っても咳が出ません。 これを不顕性誤嚥(むせのない誤嚥)と呼びます。 「むせなかったから大丈夫」とは言えない理由がここにあります。

RISK 2

誤嚥性肺炎 ─ 残留物と口の中の細菌が肺へ

気管に入った食べ物や唾液には、口の中の細菌が含まれています。 体の抵抗力が落ちている高齢者では、これが肺で炎症を起こすことがあります。 2024年の人口動態統計では、誤嚥性肺炎による死亡は63,667人で、その98.8%が65歳以上でした。

口の中の残留物は、この細菌を増やす温床になります。 日本の介護施設11施設・417人を対象とした研究(Yoneyama ら、2002年)では、 看護・介護職員が毎食後に歯みがきを行い、歯科医師・歯科衛生士が週1回の専門的な口腔ケアを行った群で、 行わなかった群に比べて肺炎の発症、発熱日数、肺炎による死亡が有意に少なかったと報告されています。 食後に口の中の残留物を取り除くことは、それ自体が肺炎予防の一部です。

RISK 3

窒息 ─ 口に溜めたまま、次のひと口が入る

口の中に前のひと口が残っているところへ次のひと口が入ると、口の中の量が増え、 まとまらない大きなかたまりのままのどへ送られることがあります。 消費者庁は、食物による窒息で亡くなる65歳以上の方が年間3,500人以上いると注意を呼びかけ、 一口の量を無理なく食べられる量にすること、 高齢者が食べるときは周囲が食事の様子に注意して見守ることを挙げています。

次のひと口を運ぶ前に、前のひと口が飲み込まれ、口の中が空になったことを確かめる。 食事中の残留確認は、窒息を防ぐ確認でもあります。

RISK 4

記録と実態のずれ ─ 「全量摂取」の中身

食器が空になっても、その一部が頬の内側に残り、あとで吐き出されたり口腔ケアで取り除かれたりしていれば、 実際に体に入った量は記録より少なくなります。 服薬でも同じことが起こりえます。 食事量や服薬の記録をもとに体重の変化や体調を判断している以上、 残留の有無は記録の正確さにも関わります。

CHAPTER 04

4. 確認のしかた ─ 見える残留と、見えない残留

口の中は目で見て確かめます。 のどは見えないので、声・音・様子に現れるサインで気づきます。 そして、のどに何がどれだけ残っているかを確かめるのは、専門職による検査です。

口の中を確認する手順

  1. 1 姿勢:座った姿勢のまま、正面から見ます。あお向けで口を開けてもらうと、残留物がのどへ落ちる危険があります。
  2. 2 明るさ:ペンライトなどで照らします。口の奥や頬の内側は、室内灯だけではほとんど見えません。
  3. 3 舌の上 → 舌の下 → 上あごの順に見ます。舌を上げてもらうと、舌の下が見えます。
  4. 4 頬の内側:スポンジブラシや指(手袋を着用)で頬を軽く外へ広げ、歯ぐきとの間を確認します。左右を比べると、片側にだけ残っていることに気づけます。
  5. 5 義歯:義歯を使っている方は外して、義歯の内側と、義歯が当たっていた歯ぐきを確認します。

確認のタイミングは「食後」だけではありません。 食事の途中で次のひと口を運ぶ前(窒息の予防)、食事が終わった直後(口腔ケアの前)、 そして薬を飲んだ直後にも確認します。 食後すぐに横になると残留物や胃の内容物が逆流しやすくなるため、食後しばらくは上体を起こした姿勢で過ごしてもらうのが一般的です。 時間の目安は、看護職員・医師の指示に従ってください。

のどの残留を疑うサイン

学会の「訓練法のまとめ(2014版)」は、咽頭残留への対応が必要かどうかを、 VF・VE による評価のほか、頸部聴診法による残留音の聴取や 嚥下後の湿性嗄声などで判断するとしています。 介護の現場で気づける主なサインは次のとおりです。

サイン確かめ方考えられること
湿った声
湿性嗄声
食後に「あー」と声を出してもらい、食前の声と比べる。ガラガラ・ゴロゴロと水が混じったような声になっていないか 声を出す声帯のすぐ上に、残留物や唾液がたまっている
のどのゴロゴロ音 食後、静かな呼吸のときに、のど元から湿った音・痰がらんだような音が聴こえないか 咽頭に残留物・唾液がある。頸部聴診では嚥下後の呼気音で確かめる
何度も飲み込む ひと口ごとに、2回、3回とゴクンを繰り返していないか 一度で送り込めず、のどに残っている感覚がある可能性
食後のむせ・咳 食事中だけでなく、食後しばらくしてからのむせや咳を見逃さない 残留物が気管へ入りかけている(嚥下後誤嚥)
食後の痰の増加 食事のあとに痰の量が増えていないか、痰に食べ物が混じっていないか 残留物・誤嚥物を咳で出している
本人の訴え 「のどに何か残っている」「つかえる」 残留がある。ただし自覚がないことも多いため、訴えがないことは否定の根拠にならない

※ これらのサインは残留の可能性を示すもので、残留の有無や場所を確定するものではありません。 食前から同じサインがある方では、食事との関係を判断できないため、食前の状態もあわせて記録します。

確認方法と担い手の整理

方法分かること主な担い手特徴・限界
口の中を見る 口腔内残留の有無・場所・量 介護職員・看護職員 機器がいらない。ただしのどの奥は見えない
声・様子の観察 咽頭残留の疑い(湿性嗄声、むせ、何度も飲み込む) 介護職員・看護職員 機器がいらない。主観に左右され、記録に残りにくい
頸部聴診法 嚥下音と嚥下後の呼気音から、咽頭残留・誤嚥の疑い 看護職員・言語聴覚士など
(施設の方針による)
専門知識が必要。聴診者の経験に依存する
嚥下内視鏡検査
VE
喉頭蓋谷・梨状窩の残留を直接見る 医師・歯科医師 施設や在宅に持ち込める。飲み込む瞬間そのものは見えない
嚥下造影検査
VF
造影剤を含む食品の動きをX線で追い、残留・誤嚥を確認 医師・歯科医師 飲み込みの全体が見える。X線設備のある医療機関で行う

※ 頸部聴診法の手順と限界は 呼吸音の聴診 の6章で詳しく扱っています。

CHAPTER 05

5. 残留を減らす・取り除く工夫

学会の「訓練法のまとめ(2014版)」には、咽頭残留への対応として用いられる手法がまとめられています。 ここでは食事介助の場面で使われることの多いものを紹介します。 どの方法が合うかは嚥下の状態によって違うため、必ず専門職の評価を受けてから取り入れてください。

交互嚥下

性状の違うものを交互に飲み込み、残留物を除去する方法です。 同資料は、べたつきやぱさつきのある食べ物のあとにゼリーなどを与えると、口腔残留や咽頭残留がクリアされるとしています。

水分を誤嚥しない方では、食事の最後に水やお茶を飲むとよいとされ、 交互に食べることが難しい場合は、食事の最後にお茶ゼリーやとろみ付きの水分を5〜6口飲み込んでもらう対応も紹介されています。

複数回嚥下(反復嚥下)

ひと口につき複数回飲み込み、咽頭残留を除去する方法です。 一回飲み込んだあと、残っている感じがあるかどうかにかかわらず「もう一回、唾を飲み込んでください」と声をかけます。

指示の理解が難しく、空の飲み込みができない方には無理に促さず、 空のスプーンを口に入れるなど、別の方法で飲み込みを引き出すとされています。

頸部回旋(横向き嚥下)

首を回すと、回した側の梨状窩が狭くなり、反対側が広くなります。 これを利用して、嚥下の後に残留していない側へ首を回して空嚥下をすると、梨状窩の残留を除去できるとされています。 ただし姿勢の組み合わせによってはかえって誤嚥の危険が高まるため、 同資料は嚥下造影検査などで事前に安全性を確認するよう求めています。介護職員の判断で始めてはいけない方法です。

食形態の調整

食べ物の物性や形を調整することで、口腔・咽頭への残留や窒息・誤嚥を防ぐ方法です(同資料「食品調整」)。 嚥下調整食の段階は「嚥下調整食分類2021」の共通の基準で表され、 病院・施設・在宅の間で同じ言葉で引き継げるようになっています。 段階の変更は、管理栄養士・言語聴覚士・医師と相談して決めます。

そして、食後の口腔ケア

口の中の残留物は、確認したらその場で取り除きます。 歯ブラシ、スポンジブラシ、義歯の清掃。3章で紹介した研究が示すとおり、 毎食後の口腔ケアは誤嚥性肺炎の予防そのものです。

  • ▸ うがいができない方は、水を含ませたスポンジブラシなどでぬぐい取ります。水分を誤嚥しやすい方では、うがいの水そのものが誤嚥の原因になりえます。
  • ▸ 奥から手前へかき出します。手前から奥へ押し込むと、残留物をのどへ送ってしまいます。
  • ▸ のどに残っているものを、口の中から取ろうとしない。咽頭の残留が疑われるときは、看護職員に報告します。 喀痰吸引は医行為です。介護職員が行えるのは、必要な研修を修了した介護福祉士・認定特定行為業務従事者が医師の指示のもとで行う場合に限られ、口腔内の吸引は咽頭の手前までが限度とされています。

CHAPTER 06

6. 記録と報告

残留は「あった/なかった」だけでは、次の判断に使えません。 専門職が読んで状態を推測できるよう、何を食べたあとに、どこに、どれくらい、どんなサインがあったかを書きます。

記録に残すこと

  • ・いつ:食事中/食直後/食後○分
  • ・何を食べたあとか:食品名と食形態(学会分類のコードがあれば併記)
  • ・どこに:右の頬の内側、舌の上、義歯の内側 など
  • ・どれくらい:ひと口分、薄く付着 など
  • ・のどのサイン:湿った声、ゴロゴロ音、むせ、何度も飲み込む
  • ・いつもとの違い:前回・前日と比べてどうか
  • ・対応:口腔ケアで除去、看護職員に報告 など

記録の例

あいまいな記録

昼食後、口腔内残渣あり。

伝わる記録

12:40 昼食(全粥・コード4の主菜)終了直後、右頬内側に主菜ひと口分の残留。 口腔ケアで除去。発声で湿った声あり(食前はなし)、むせなし。 13:00 再確認で声の湿り消失。右側の残留は今週3回目。看護職員へ報告。

すぐに看護職員を呼ぶとき

  • ・声が出ない、息ができない様子、のどを押さえる、顔色が悪くなる(窒息の疑い)
  • ・食後のむせや咳が止まらない、呼吸が苦しそう、ゼーゼー・ゴロゴロが続く
  • ・食後から熱が出た、痰が急に増えた、元気がない

窒息が疑われるときは、ためらわずに人を呼び、所属施設の急変時対応の手順に従ってください。

CHAPTER 07

7. 見えない残留に、気づく機会を増やす

口の中の残留は、見ればすぐ分かります。課題はのどの残留です。 湿った声もゴロゴロ音も、聴く人によって受け止め方が変わり、 「少し湿っている気がした」という印象は記録に残りにくく、前回との比較もできません。

AiTone のアプローチ

食後の確認に、スマートフォンを首に10秒

AiTone は、専用機器を使わず、iPhone を頸部に当てて10秒録音するだけで、 AI が頸部呼吸音を解析し、呼吸音の特定パターンを検知するアセスメント補助ツールです。 食後の確認の手順にこの10秒を組み込めば、のどの音を、誰が測っても同じ手順で記録として残せます。

食事のたびに同じ手順

1回10秒。食後の口腔ケアの流れの中で計測できます

担当者が替わっても同じ基準

聴く人の経験に左右されない物差しで記録します

前回と比べられる

印象ではなく客観的な記録として、変化を全員と共有できます

位置づけについて

AiTone はアセスメントを補助するツールであり、医療機器ではありません。 咽頭残留や誤嚥の有無を診断するものではなく、嚥下内視鏡検査・嚥下造影検査や医師の診察に置き換わるものでもありません。 気になる結果が出たときに、看護職員や医師、言語聴覚士につなぐ ── その入り口を増やすための道具です。

REFERENCES

8. 参照している情報源

本ページは介護現場での学習・実務の参考として作成しています。 医学的な診断・治療の判断を目的としたものではありません。 食事介助の方法・食形態の変更・嚥下の評価は、必ず所属施設の方針および医師・歯科医師・看護職員・言語聴覚士・管理栄養士の指示に従ってください。

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